チャート式ポップカルチャー

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(コラム)カンヌ国際映画祭と『万引き家族』

現在、第71回カンヌ国際映画祭が行われています。

ヴェネツィア国際映画祭ベルリン国際映画祭と並び、世界3大映画祭と呼ばれる映画祭の中でも最も有名とされるのがカンヌ国際映画祭なのですが、今回、日本からは是枝裕和監督の『万引き家族』と濱口竜介監督の『寝ても覚めても』の2作品がコンペティション部門に出品されています。

 

コンペティション部門とは、パルム・ドール(最高賞)、グランプリ(最高賞に次ぐ賞)、監督賞、男優賞、女優賞脚本賞、審査員賞らの審査対象となるカンヌ国際映画祭の中心となる部門です。

他にも上記の審査外ではあるもののオリジナリティのある作品が選出されるある視点部門や新人監督に与えられるカメラ・ドール等、更にはカンヌ国際映画祭の運営とは別ですが監督週間、批評家週間などの賞を含め、カンヌ国際映画祭では様々な賞が作品に与えられることとなります。

 

さて、カンヌ国際映画祭の常連というと、日本では特に河瀬直美監督と是枝裕和監督と黒沢清監督の3人が真っ先に挙がると思うのですが、今回ノミネートされた是枝監督はこれまでに、第54回の『DISTANCE』(2001)、第57回の『誰も知らない』(2004)、第66回の『そして父になる』(2013)、第68回の『海街diary』(2015)ではコンペティション部門に、第62回の『空気人形』(2009)と第69回の『海よりもまだ深く』(2016)ではある視点部門に出品され、『誰も知らない』では柳楽優弥さんが男優賞を、『そして父になる』では審査員賞を受賞しています。

 

そして今回、『万引き家族』では是枝監督が「この10年間考え続けてきたことを全部込めた」と語っていることや、これまでの実績、そして『万引き家族』で描かれるであろう家族に対する多様性に対する寛容さは、もしかしたら今のカンヌ国際映画祭の空気感にフィットするかもしれません。

あくまでも観賞すらしていない時点での予想ですが。

 

そんな『万引き家族』では安藤サクラさんと松岡茉優さんが初の是枝組として出演しているのも楽しみなところです。

近年では是枝監督と坂元裕二さんの交流が盛んになり、それに伴い俳優陣のクロスオーバーが垣間見えるような気もしますが(2013年の時点で尾野真千子さんと真木よう子さんが共に出演していた『最高の離婚』と『そして父になる』でその気はありましたが)、個人的には若手女優の中での2トップが広瀬すずさんと松岡茉優さんだと思っており、また30代の女優の中での2トップが満島ひかりさんと安藤サクラさんだと思っているので、この交流によって優れた作家に優れた女優が集っていく様は期待が膨らんでゆくばかりです。

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特に松岡茉優さんの近年の活躍は著しく、昨年末からの『勝手にふるえてろ』と『ちはやふる 結び』は共に大傑作でしたが、それ以前から映画では『愛のむきだし』や『桐島、部活やめるってよ』、『ちはやふる』シリーズといった作品に出演していたり、ドラマでも『あまちゃん』や『問題のあるレストラン』、『その「おこだわり」、私にもくれよ‼︎』などにも出演しており、そのフィルモグラフィーの豪華さはちょっと異常な程で、この10年の日本のポップカルチャーには無くてはならない存在だったと言えます。

 

ということで、現在カンヌ国際映画祭にも出品されている『万引き家族』を早く観てみたいという気持ちは募っていくばかりなのですが、公開日は6月8日です。

是枝監督の作品なので、今回も見応えのある映画になっていると思いますし、一貫してドキュメンタリー作家ならではの視点で様々な家族の形を撮り続けた監督らしい映画になっているのではないでしょうか。

カンヌ国際映画祭での受賞も期待しつつも、映画の公開を楽しみにしています。